はじめに

最適化フローと導入メリット

Turbonomicにおける最適化のフローと導入メリットを解説します。
最終更新: 2025/10/6

Turbonomicを導入したのちに、どのようなフローでアクションの実行までが行われるのかを案内します。また、導入することによって、従来の手動での管理との違いを比較しています。

コアとなる機能である、リソース最適化(パフォーマンスの改善)とコスト最適化(コストの削減)までの流れを理解することで、Turbonomicの流れを掴んでいきましょう。

公式ドキュメント:Turbonomicの仕組み
https://www.ibm.com/docs/ja/tarm/8.17.x?topic=overview-how-turbonomic-works

Turbonomicによる最適化の流れ

Turbonomicでは、上記画像のフローで最適化を実施していきます。

画像と対比させながら、1.Observability、2.Actionable Insights、3.Executionの内容を解説します。

1.Observability

まずは管理対象を設定しなければなりません。Observabilityの領域におけるITリソース管理では、対象のリソースを指定します。例えば、AWSなどの仮想マシンを指定すれば、関連するデータベース、ストレージ、その他を分析し、どのように紐づいているのかを特定します。

次に、Observabilityの領域におけるITリソース可視化では、分析したITリソースの関係性を可視化します。Observabilityとは可観測性という意味を持っており、このフローでは、ITリソースを管理、可視化しています。従来は人が手動で作成していたリソース同士のマッピングを自動で行ってくれるのです。

こちらのマッピングについては、UIの項目で細かく説明します。まずは、指定したITリソースを管理下に指定することで、可視化されるということを理解しましょう。

2.Actionable Insights

Actionable Insightsは、アクション可能な洞察を指しています。画像では推奨アクションと表示しています。ITリソースが可視化されたことで、分析が始まります。分析直後の推奨アクションの精度を向上させるためには、ITリソースの観察期間を設ける必要があります。基本的には30日間の観察期間を推奨しておりますが、最大90日まで伸ばすことで、推奨アクションの精度を高めることが可能です。

経過した期間に対して、推奨アクションが表示されるようになります。画像の中の推奨アクションに注目してください。サイジング調整や、配置変更、動的スケーリングといった記載がされています。ここでは一例を紹介していますが、これだけではありません。その他の項目も表示されるようになります。ここで、リソース最適化(パフォーマンスの改善)とコスト最適化(コストの削減)というTurbonomicのコア機能が推奨アクションとして見ることができるのです。

参照:公式ドキュメント 観察期間より
https://www.ibm.com/docs/ja/tarm/8.17.x?topic=cloud-vm-policies#policy_defaults_vm__ObsPeriodCloudVM__title__1

3.Execution

Executionは、アクションの実行を指しています。Turbonomicでは、推奨されたアクションに対して、ポリシーを設定することで、自動的にアクションを行う、アクションの推奨だけを行う、あるいは選択的項目のみアクションを表示するといった設定が可能となっています。

例えば、下記画像のように、アクションの詳細画面から「実行操作」をクリックすることで、手動で推奨アクションを実行することができます。

また、インスタンスの立ち上げ可否をスケジュールして実行するParkという機能も存在しています。Parkとは「一時的に置く」という意味を持っており、仮想マシンの停止や起動などに関わる機能です。詳細については後ほど個別に説明いたします。

アクションの実行によって、推奨アクションで選択した内容に従った変更が行われます。この時、コストがかかるアクションであれば、投資となり、コスト削減となれば、削減のアクションが実施されたことが履歴に残るのです。

最適化のサイクル

最適化は一度行われれば終わりではありません。各クラウドの情報取得によって、利用状況にあった最適なインスタンスへの変更はもちろん、パフォーマンスの悪化が確認されれば、それを改善するための推奨アクションを提案するようになっています。 また、常に最適なインスタンスタイプの適用・新しいインスタンスがリリースされれば、それに追従することで、継続的かつ最新の最適化を実現し続けます。

Turbonomicは従来人が行ってきた繰り返しの作業を、1.Observability、2.Actionable Insights、3.Executionを繰り返すことで、常に最適化し続けるのです。

導入によるメリット

改めて、従来の人の手による管理と、TurbonomicのようなAIを搭載した製品とを比較してみましょう。

従来の管理とAI適用の比較

従来の管理AIの適用
1.監視ツールが取得した性能/情報の集計1.AIによる性能/情報の自動集計
2.ピーク特性に合わせて、プランを実施2.自動的にピーク特性を学習して、プランを提示
3.人の目で状況を把握してリソースを調整3.AIによる自動/提案による人の許可で最適化
4.リソース/性能情報を取りまとめ、責任者へ4.自動的にリソース/性能状況のレポートを生成
1.へ戻る継続的な自動最適化

従来の管理では、最終的に何度も最初の項目へ戻る必要があります。しかし、AIからの推奨アクションの適用によって、手動での最適化、あるいはポリシーと権限設定によって、自動的に最適化が行われていきます。

これによって、段々と人が判断する項目と、Turbonomicが判断する項目が分離していき、自動的に最適化可能な部分をTurbonomicに移譲していくことで、人が介在しない、自動的な最適化を実現することが可能になっていくのです。

ビジネス価値

Turbonomicの導入は自動的な最適化に繋がっていきますが、それはどのようなビジネス価値となるのでしょうか?

1.常にコストを最適化する

分析により過剰なプロビジョニングを抑制することが可能です。いくら専門的な知識を持つ人員でも、感覚的な部分や余裕を持ったプロビジョニングをすることは避けられません。

対して、Turbonomicでは、分析データから安全な稼働が可能な数値を定義しており、パーセンタイルという指標に従って、クラウド/インフラ投資の無駄をカットするようになっています。つまり、安全かつ最適な投資をすることが可能なのです。

2.運用の高度化

安全な稼働を計算する数値によって、アプリケーションの動作の保証がされているため、最適化が行われてもアプリケーションのパフォーマンスが落ちないように設計されています。

これはTurbnomicが単純な監視ではなく、アプリケーションに対する需要と供給を計算して、それに対する安全な自動化が行われることにもとづいています。結果的に、手動調整から解放され、エンジニアはこれまで費やしていた時間を別の運用に充てることができるでしょう。

3.サステナビリティ

環境への貢献は、世界を取り巻く大きな課題です。Turbnomicでは、環境への貢献を可視化しています。

レポート機能ではエネルギー使用料とカーボンフットプリントに焦点をあてており、電力やCO2の削減といった、社会問題への対応を掲げ、サステナビリティの取り組みを可視化することも可能にしています。

参考:サステナビリティの特徴より
https://www.ibm.com/docs/ja/tarm/8.17.x?topic=overview-sustainability-features


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