Turbonomicとは?
公式ドキュメント:製品の概要
https://www.ibm.com/docs/ja/tarm/8.17.0?topic=documentation-product-overview
Continuous Optimization(継続した最適化)を行う製品
Turbonomicの概要を改めて説明します。本製品は、24時間365日「アプリケーションのリソース状況を管理」し、また「ニーズを継続的に分析」しています。それは、「アプリケーションを確実に実行できる」ようにするためであり、そのために、分析した情報から「最適なアクションを生成する」機能を備えています。
Turbonomicは2025年8月末現在、Application Resource Management(ARM)として検索に表示されることがあります。アプリケーションリソース管理というのは確かに一要素として含まれています。
しかし、Turbonomicの本質は継続した最適化にあります。そのため現在製品名からARMの部分がなくなり、IBM Turbonomicと呼称されているソリューションとなりました。Cloud Native Computing Foundation(CNCF)でも、TurbonomicのカテゴリはContinuous Optimization(CO)とされており、継続的に最適化を行うソリューションであることが示されています。
CNCF公式:LANDSCAPEより
https://landscape.cncf.io/
下の画像のようなサイクル実現のために、Turbonomicは環境全体の関連を分析しています。アプリケーションが問題なく動作する需要を把握して、不足している場合はユーザーにアクションという形で教えてくれます。

アプリケーションにリソースが必要な場合は、使用可能なCPUやメモリー、ストレージといった、リソースの提供を提案します。アプリケーションが最適に動作する環境を常に監視し、自動で最適化を実施する設定の場合は、常に環境全体を最適な状態に維持します。
また、Turbonomicの最適化アクションは、常にコストがかかるわけではありません。クラウド環境や仮想環境、Kubernetesの状態に応じて、実行可能なアクション(例:インスタンスのリサイズや停止など)を提案・自動化することで、パフォーマンスの維持だけではなく、コスト削減も実現することが可能です。
Continuous Optimizationとは?
先述にもありますが、Turbonomicでは「リソース管理」「ニーズの分析」「アプリケーションの確実な実行」を行うために継続的な最適化が行われることが本質です。1度の最適化で得られるのは、その時点での最適化でしかありません。状況は刻々と変化するため、常に最適化する必要が生まれます。そのため、Turbonomicの本質は、「継続した最適化」であるCOということです。
継続した最適化とは、人がいままで管理してきた、サイジングやシステムパフォーマンスを考慮した、リソース割り当てを自動化することが目的です。そこには適切なリソース割り当てによる削減が行われることもあるでしょう。逆に必要リソースのためにコストがかかることもあるでしょう。
しかし、近年のマルチクラウドやコンテナ、エッジコンピューティングによって、人の手で適切な管理をすることは難しくなってきています。基本的にはリソース不足を避けるために、過剰なリソース割り当てを行っている可能性が高まっています。すなわち削減の可能性が常に生まれているということです。

例えば上記の図の「適切なリソースのサイジングと配置ができているか不安」において、リソースが適切に管理されるようになったとしましょう。過剰なリソースを与えている場合、ダウンサイジングなどによって、コストダウンが期待できます。10台の仮想マシンで同じような節約があるだけで、数万、数十万の節約になります。年額にすれば数百万になるでしょう。
新たに生まれた資産によって、新しい環境を拡大することが可能になります。またその環境も最適化することで、常に無駄なくビジネスに注力するコストの管理ができるのです。もちろんピークタイムの変化によって、必要なリソースを与えることも重要です。しかしピークが終われば不必要なリソースを与える必要はありません。
運用者にとっては、このようなパフォーマンスの安定化をすることと、コスト管理を行うこと、その規律であるFinOpsを理解することも必要な時代なのです。
このような問題に真っ向から向き合い、人力で解決するのは得策ではありません。Turbonomicによる分析、アクションの提案、そして実行を選択することで、効率的かつ、最終的には自動化を目指すことで常に最適な環境にすることができるでしょう。最適化をループさせ、継続することが「継続的な最適化」につながるのです。
参考:FinOps Foundationより
https://finops-jp.github.io/docs/introduction/what-is-finops
コア機能
Turbonomicの機能として、最初に理解しておきたいコア機能を説明します。下記の2つの要素がTurbonomicの根幹です。
- リソースの追加
- リソースの削減
Turbonomicはあらゆるプラットフォームやクラウドのリソースを最適化し続けます。コアの機能として、「リソースの追加」と「リソースの削減」が最初の内容だと捉えてください。
パフォーマンス保証
Turbonomicにおいてリソースの追加を行う意味は、パフォーマンスの保証です。取得したリソースやアプリケーションのデータから、安定稼働に必要なリソースが不足していることを判断して、パフォーマンスの改善を行います。
下の円グラフではリソース追加時に、必要となる投資の額が表示されています。Turbonomicによって提案されたアクションを実行すると、全体でこれだけの投資が必要になることが、ひと目でわかるようになっています。

コスト削減
コストと先述のFinOpsは切り離すことができません。Turbonomicでは、余剰や無駄なリソースを削減することによって、コストを削減することが可能です。
しかし、コスト削減というと、余剰リソースを削減することに力を注いでいるように見えます。しかし、Turbonomicで提案されるアクションは性能を下げて節約をするだけではありません。
コストに見合ったパフォーマンスを提供できるように、各クラウドプラットフォームごとに更新されるインスタンスタイプの情報を取得しています。そのため、コスト削減とパフォーマンス改善の両方が可能なアクションも存在します。
また、投資と同様に全体の節約額も確認することが可能です。

3つのポイント
ここまでの内容を3つのポイントとしてまとめました。Turbonomicとはどんな役割か、改めて簡単に押さえておきましょう。
- アプリケーションの性能を維持、向上させる
- ハイブリッド/マルチクラウド費用の無駄を削減する
- 多様な環境に対して、性能改善/費用削減のアクションを提案する
Turbonomicは、ただ無駄を削減するソリューションではなく、アプリケーションの性能を改善しつつ、削減可能な場所があれば提案します。いままで人が管理・把握しきれない多様な領域をカバーし、総合的に判断することで、手の行き届いていなかったところを見つけてくれる製品です。